妊活の知識

妊活を始める前に知っておきたい10のチェックポイント

年齢、体型、喫煙・飲酒、ワクチン接種、生理周期、婦人科疾患、基礎体温、男性の習慣、そして病院選びや検査。妊活を本格的に始める前に、知っておきたい10個のポイントを紹介します。

カラダや生活習慣は、すぐには変えられないもの。妊娠に備えたカラダの準備ができているかどうか、まずはふたりでチェックしてみてくださいね。

男女ふたりでチェックしておきたいポイント

「妊活」が気になり始めたら、まずはふたりに共通する4つのポイントをチェックしてみましょう。

1.年齢

2.体型

3.喫煙・飲酒の頻度

4.ワクチン接種

1.「年齢」…女性の35才が1つの基準に

生物学的なヒトの出産適齢期は、20代~30代前半までと言われています。日本の女性の第一子を出産したときの平均年齢は、30.9才(2021年調査)。1980年は26.3才、2000年は28.0才と上がり続けています。

一方で、妊娠できる確率を年代別に比べていくと、「20代」と「30~34才」までは約25~30%とほぼ変わりません。ところが「35~39才」になると約18%に、「40~44才」では約5%にまで減少します。(※1)

自分の年齢と妊娠できる確率を知り、妊活方法を選択していけるといいですね。

男性の精子もゆるやかに老化していく

年齢と妊娠力の問題は、女性に限った話ではありません。実は、精子も年齢とともに老化・減少し、妊娠力にも影響します。男性の年齢が35歳をすぎると体外受精の成績が低下するという報告もあります。(※2)

妊娠に関しては女性の年齢が重視されがちですが、お互いの年齢を考慮に入れられるといいですね。

2.「体型」…痩せすぎでも肥満でもよくない

体型も「将来の妊娠しやすさ」とは無関係ではありません。男性も女性も、自分に適した体型づくりが大切です。目安にしたいのはBMI(体格指数)が標準値かどうか。BMIは、以下の数式で求められます。

BMI=体重kg÷(身長m)²

BMIの数値が18.5~24.9であれば標準です。それよりも低ければ痩せ、高ければ肥満と判断されます。

BMIは自分の適正体重を探る目安になります。特に生理周期が安定せず、BMIの数値が標準範囲外の女性は、まずは標準値に近づけることを心がけてみて。

3.「喫煙・飲酒」…妊娠力の低下に繋がる

女性はタバコを吸うと卵子がダメージを受けます。また卵巣機能が悪くなったり、妊娠しても流産が増えたりするという報告も。男性もタバコを吸うことで精子の数が減り、精子に含まれるDNAを損傷する恐れもあると言われています。タバコの煙には多くの有害物質が含まれているため、副流煙にも注意が必要。妊娠を望むなら、早いうちに禁煙するのがベストです。

また、アルコールを体内で分解するときに発生するアセドアルデヒドは、男女の生殖機能を低下させると言われています。女性の場合、1週間でアルコールの摂取量が50g(ビール大瓶2本、ワイン4〜5杯ほど)を超えると、妊娠に至る確率が16%低くなると言われています。男性は、精液量、精子の運動率、精子濃度、正常形態率などに影響が出ます。飲酒の機会が多い方は、妊活を機に控えるよう意識してみてくださいね。

4.「ワクチン接種」…感染症は赤ちゃんに影響を及ぼすことも

妊娠前にワクチンの接種歴をチェックしておくことも大切です。

特に「風しん」は妊娠中に気をつけたい感染症。妊娠初期の妊婦さんが風しんに感染すると、お腹の赤ちゃんが目や心臓、耳に障がいを持つ「先天性風疹症候群」で生まれてくる可能性が高くなるためです。

風しん予防にはワクチンの接種が最も有効です。今の20~40代は子どものころに風しんワクチンを打っている人が多数派ですが、なかにはすでに体内の抗体が消えている人もいます。

女性は妊娠すると、出産するまで風しんワクチンを接種できません。長い妊娠期間の不安要因を減らすためにも、女性はもちろん、男性や同居家族は、風しんの抗体チェックとワクチン接種を済ませておきましょう。

風しんのワクチンは、接種後の2ヵ月間は避妊が推奨されています。そのため、妊活を始める前に受けておけるとベストです。

また、男性が注意したい感染症の1つが「おたふく風邪」です。成人男性がかかった場合、睾丸炎や精巣炎を引き起こして不妊になる可能性があるので、ワクチン接種を済ませておくことをオススメします。

女性がチェックしておきたいこと

男女ふたりでチェックしたいポイントの次は、女性ならではのチェックポイントを紹介します。

5.生理周期

6.婦人科疾患

7.基礎体温

それぞれ何をチェックすれば良いのか、1つひとつ見ていきましょう。

5.「生理周期」…長いか短いかよりも大事なこと

なぜ生理周期の記録が妊活の準備になるのでしょうか? それは生理周期が「体内で女性ホルモンがきちんと分泌されているかどうか」のバロメーターだからです。

前回の生理の期間は? その前の生理との周期は? 周期は毎回安定している? それとも不順? 妊娠の相談で婦人科を訪れると、最初の診察で必ず聞かれる内容です。

生理周期が安定しているのなら、排卵がきちんと起きている可能性も高いです。排卵日が予測しやすい方なら、妊娠できる可能性も上がるでしょう。

「生理周期が35~40日くらいと長めですがちゃんと妊娠できますか?」「生理周期が短いのですが大丈夫ですか?」といった疑問もよく耳にしますが、次の生理までのサイクルが25~38日であれば正常とされています。長いか短いかよりも、安定しているかどうかが重要です。月によって周期がズレることがあるかもしれませんが、6日前後のズレで、かつサイクルが25〜38日の間に収まっていれば、安定していると言えるでしょう。もし、この幅より外れるようであれば、病院で診察することをオススメします。

出血期間もチェック

生理周期をチェックするのと同時に確かめてほしいのが出血の期間です。生理の出血期間は3~7日間が正常とされています。2日でバッと終わってしまう、逆にだらだらと1週間以上も出血が続く、不正出血が多いなどの症状がある場合も、やはり病院で一度診察してもらいましょう。

6.「婦人科疾患」…筋腫や内膜症が不妊の原因に

生理痛がひどい=妊娠しづらいという直接的な関係性はありません。しかし、生理痛がひどい原因が婦人科疾患であれば、その婦人科疾患が不妊の原因になる可能性があります。

例えば、子宮筋腫やポリープはできる位置によっては受精卵の着床を妨げる原因にもなります。卵管や卵巣などに子宮内膜が増殖する子宮内膜症もまた、卵管の癒着や内膜の状態悪化を招くため注意が必要です。

本格的に妊活を実践する前に医師に相談し、必要に応じて治療しておけると安心ですね。

持病がある方は医師に相談して

婦人科疾患だけでなく、持病がある方は妊活を始める前に医師へ相談できるとベターです。これは、持病の薬が妊娠初期の「妊娠禁忌」の薬にあたる可能性があるため。妊娠に気が付かず「妊娠禁忌」の薬の服用を続けると、赤ちゃんの発育に影響してしまうこともあります。必要があれば別の種類に変えてもらいましょう。

7.「基礎体温」…毎日測れなくても大丈夫。できる日からトライ

基礎体温とは、生命を維持するのに必要な最小限のエネルギーしか消費していない安静時の体温です。朝起きてカラダを起こす前に婦人体温計で計測します。

排卵が正常に起きている女性の場合、生理がスタートした日から排卵日までは低温期が、排卵日から次の生理までは高温期が続くため、折れ線グラフにすると二相性の線を描きます。

基礎体温のグラフがガタガタに見えるときは

基礎体温にまつわる悩みで一番よく聞くのは、「基礎体温を測ってみたけど線がガタガタでよくわかりません」という声です。実は、教科書のようにすっきりしたきれいな二相性グラフになる人は少数派です。

しかし、本人はわかっていなくても、医療関係者が見れば「二相に分かれていますね」と言われることは意外と多いもの。0.01度の数値まで細かく比べると、全体像が捉えづらくなります。そんなときはグラフから少し距離を取って遠くから見てみてください。1つの数字に注目せずに全体を見ることで、大まかに二相に分かれていることがわかることもあります。

「毎朝測るのが大変で続かない」という声も同じくよく聞きますが、たまに測り忘れても問題ありません。一日一日の数値よりも、全体のラインが捉えることができればOK。気負わず、まずはできる日から測ってみましょう。

妊活を始める前に、男性は「睾丸に熱を与えていないか」をチェック

次は、男性特有のポイントを紹介します。「ふたりでチェックしたいポイント」と合わせて、確認してみてくださいね。

8.睾丸に対する「熱」……精子に与える悪影響に注意

精子は「熱」に弱く、高温になると運動率が低下してしまいます。

愛好家も多い高温サウナは、実は精子に悪影響。サウナが精子に与える影響は短期的なもので、利用をやめれば元に戻るとのデータ(※3)もありますが、妊活が視野に入ってきたなら控えたほうがいいかもしれません。また、密着度の高いボトムスや下着、長時間の自転車運転も、睾丸がカラダと密着して温度が上がった状態になるため注意が必要です。

睾丸に熱を与える習慣の改善は早めに&継続して

精巣で精子がつくられるまでには74日ほどかかるので、習慣を見直しても明日から精子が元気になるわけではありません。急には無理でも、少しずつ改善できるよう意識してみてくださいね。

妊活前に知っておきたい病院選び

妊活への意識が徐々に高まってきたら、医療機関の利用も検討し始めましょう。一口に病院といっても、婦人科・産婦人科から不妊治療専門の病院まで多様な選択肢があります。

ネットには「妊活を始めるのでいい病院を教えてください」という口コミがあふれていますが、自分にあった病院を選ぶのは難しい場合も。そんなときには、まず次のポイントを大切にしてみては。

9.「通院しやすいクリニック」…自分のライフスタイルに合うかどうかが大切

通勤の行き帰りで寄れる職場の近くの病院がいいのか、それとも土曜も対応してくれる自宅近くのクリニックがいいのか、あなたが通いやすいのはどちらでしょうか?

妊活が始まると、検査、不妊治療で頻繁にクリニックに足を運ぶことになるかもしれません。そうした可能性を見据えて、通いやすい病院を選んでみましょう。

病院はそのときどきの状況で柔軟に選んで

なかなか結果が出ないときや、治療方針に納得できないときは、高度な治療をおこなうクリニックに転院する選択肢もあります。反対に、「体外受精」のような負担の大きい治療に疲れたときや多忙なときは、いったんお休みして高度な治療をおこなわない身近なクリニックでタイミング法に再トライしてみる方法もあります。

妊活は長期戦になることもあります。1つの病院にこだわりすぎず、ふたりの心とカラダの負担を相談しあいながら、柔軟に進め方を変えていきましょう。

妊娠の前に受けられる検査って?

「自分たちは妊娠・出産できるのかな?」

こういった不安は、妊活を始める前に検査を受けておくことで解消できますよ。今すぐに妊娠・出産する予定がない方も、早い段階で自分たちのカラダの状態を把握しておいてはいかがでしょうか?

10.「ブライダルチェック」…結婚前や妊娠前に受けることができる検査

「ブライダルチェック」とは、結婚前・妊活前に、妊娠や出産の妨げになるものはないかを調べる検査のこと。医療機関によって多少違いはありますが、次のような検査をおこないます。

女性の検査内容

男性の検査内容

検査結果から、妊活の進行がスムーズに

検査の結果、妊娠を妨げる要因が男女のどちらかにないかをチェックして、問題がない場合は自己流のタイミング法で妊活を始めてもいいでしょう。不調や疾患が見つかった場合は、治療の相談へスムーズにステップを進めることができます。

妊活を始める前から、生活習慣や自分のカラダを見直しておこう

妊活を始めるときに、妊娠に適した健康なカラダになっていられると安心ですよね。「いつか子どもを授かりたい」と考えている方は、ぜひ今から、紹介した10のチェックポイントを意識してみてください。

※1 M.Sara Rosenthal.The Fertility Sourcebook.Third Edition

※2 Hum Reprod Update 16:65-79,2010

※3 1) Garolla A, Torino M, Sartini B, Cosci I, Patassini C, Carraro U, Foresta C. Seminal and molecular evidence that sauna exposure affects human spermatogenesis. Hum Reprod. 2013 Apr;28(4):877-85. doi: 10.1093/humrep/det020. Epub 2013 Feb 14. PMID: 23411620.

【記事監修】

株式会社ファミワン

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