妊活ステップ

妊娠を望むふたりが知っておきたい「妊娠」の基本知識

子どもが欲しいなと思っていても、いざ自分たちが親になると思うとわからないことだらけ。どんな仕組みで妊娠するのか、妊娠したらカラダはどう変わるのか、妊娠する確率はどのくらいか…。妊娠を望むふたりが知っておきたい基礎知識をまとめました。

妊娠するときはカラダに何がおこっているの? 受精から着床までの流れ

妊娠の仕組みについては学生時代に教わったものの、あまり覚えていないという人もいるのではないでしょうか。まずは復習も兼ねて、排卵、射精、受精、着床という妊娠までの流れを見ていきましょう!

排卵から受精、着床まで

1つの卵子が、精子に出会うために卵巣から飛び出すことを「排卵」といいます。女性は初潮を迎えてから、おおよそ1ヵ月に1回のペースで排卵が起きています。

排卵された卵子は、子宮へと繋がる卵管の先にある卵管采[らんかんさい]にキャッチされ、卵管に取り込まれます。一方、膣に射精された精子は子宮頸管[けいかん](子宮下方の細い部分)と子宮を通って卵管へと進み、卵子を待ちます。この卵子と精子が卵管の中で出会うのが受精です。

受精卵は、細胞分裂を繰り返しながら子宮へと移動します。そして、ホルモンの影響でふかふかになっている子宮内膜(子宮内で受精卵を受け止めるためのベッドのようなもの)に根を張ります。これが「着床」と呼ばれ、着床が成功すると妊娠します。

一方、妊娠しなかったときは、不要になった子宮内膜がはがれ落ちてカラダから出ていき、生理がおこります。生理を迎えると次の着床に備えて再び子宮内膜が増殖し、卵子も排卵に向けて成熟していきます。女性のカラダではこれが繰り返されています。

妊娠するには射精と排卵のタイミングが合うことが大切

排卵、受精、着床のステップがすべてうまくいってはじめて妊娠することができます。精子と卵子が出会うタイミングが少しでもズレると、妊娠には至りません。

射精された精子が女性のカラダの中で生きていられるのは最大でも5日ほど。その中でも精子に受精能力があるのは48時間ほどに限られています。排卵した卵子が受精できるのは約1日です。妊娠するには、ごくわずかな期間に精子と卵子がタイミングよく出会うことが必要です。

妊娠する確率って? 生理の変化と妊娠しやすさ

妊活をどれくらい続けると、妊娠するものなのか気になりますよね。性交渉をして妊娠が成立する確率はどのくらいなのでしょうか。

妊娠しやすい時期でも、妊娠できる確率は25〜30%

「避妊をやめれば、すぐに子どもを授かれる」と考えている人もいるかもしれません。しかし、もっとも妊娠しやすい年ごろの健康なカップルが性交渉をしても、精子と卵子がタイミングよく出会い、うまく着床し、妊娠する確率は25〜30%ほどと言われています。

こういった妊娠のしやすさは、個人の生殖能力によっても左右されます。男性であれば精巣や精子に異常がないか、勃起や射精ができているか。女性であれば子宮や卵巣、卵子に異常がないか、排卵がきちんとおこっているか、など。

個人差があるものの年齢は重要な要素です。傾向として20代前半の女性が最も妊娠しやすく、それ以降は徐々に妊娠しにくくなり、35才を過ぎると妊娠率は大きく低下します。

カラダが妊娠に備えた状態になっているかどうかは、「プレコンチェック」「ブライダルチェック」と呼ばれる病院の検査で調べることができます。ふたりで検査を受けてみるのもいいですね。

予定日から1週間経っても生理がこないなら妊娠検査薬を

目安として、生理が予定日より1週間遅れ、だるさや微熱などの体調の変化を感じている場合は妊娠検査薬を使ってみましょう。普段から規則正しく生理がきている人なら生理予定日から1週間~10日後から使用できます。

使うタイミングが早過ぎると妊娠していても陽性反応が出ないことも。もし生理がこないのにうまく反応がでない場合は、さらに1週間ほど待ってもう一度検査してみましょう。また、もともと生理不順で生理予定日がわかりにくい人は、性交渉をしてから2週間以上経ったころに妊娠検査薬を使ってみてくださいね。

妊娠検査薬はドラッグストアで購入可能

妊娠検査薬はドラッグストアで500〜1000円ほどで購入できます。

妊娠検査薬は、尿採取部分に直接尿をかけたり、コップなどに入れた尿に検査薬を浸したりして使います。検査が終了したことを示す「終了窓」に線が出て、判定結果が示される「判定窓」にも線が出ていたら陽性。つまり妊娠が成立しているということです。

妊娠が成立すると、女性の体内ではhCGというホルモンが分泌され始め、尿の中にも出てくるようになります。妊娠検査薬は尿中に含まれるhCGホルモンに反応し、妊娠をしているかどうかを判定します。

検査薬で陽性が出たあとは早めに病院へ受診を

市販の妊娠検査薬を使って陽性反応が出たら、できるだけ早く産婦人科を受診しましょう。

妊娠が成立していても「子宮外妊娠」や「胞状奇胎」などの異常妊娠の可能性もあります。子宮外妊娠とは、卵管など子宮内膜以外の場所で受精卵が着床してしまうこと。全妊娠の約1~2%と言われています。胞状奇胎とは、これから胎盤になる絨毛という組織が病的に増殖する病気で、およそ500人に1人くらいの割合で発症します。

どちらも放っておくと母体にとってとても危険です。検査薬が陽性だと安心してしまうものですが、早めに医師の診察で正常な妊娠かどうかを診てもらってくださいね。

安定期はいつから? 妊娠初期・中期・後期に実感する体調の変化

受精卵が着床し妊娠が成立したあと、カラダの中では何がおこるのでしょうか。妊娠成立から出産直前までの流れを紹介します。

妊娠初期:つわりに悩む人が多い

妊娠初期とは、妊娠2ヵ月~4ヵ月(4週~15週)のこと。多くの人が妊娠に気付く時期は「妊娠1ヵ月(0~3週)」ではなく、「妊娠2ヵ月(4~7週)」です。これは「妊娠0週」が直近の生理が始まった日からカウントされるため。排卵して受精するのが妊娠2週、子宮内膜に受精卵が着床して、妊娠が成立するのが妊娠3週です。妊娠3週ごろには「妊娠超初期症状」と呼ばれる体調の変化を感じる人もいますが、気付かない人も少なくありません。

妊娠中特有の症状として有名な「つわり」を多くの人が感じ始めるのは、妊娠2ヵ月(4週~7週)ごろです。つわりとは、吐き気や胃のむかつき、ニオイに敏感になるなどの症状で、妊娠した女性のうち50~80%ほどに現れます。そのほか、ホルモンの影響でカラダがだるく熱っぽくなったり、1日中眠くなったりもします。

妊娠3ヵ月(8週~11週)には子宮が徐々に大きくなり、直腸や膀胱が圧迫されて頻尿や便秘になることも。多くの人はこの時期につわりのピークを迎えます。吐き気で食事をする気になれないときは、「食べられるものを食べられるだけ」で大丈夫。

妊娠4ヵ月(12週~15週)には、つわりが少し収まる人も出てきます。子宮の中で胎盤が完成することで流産のリスクも下がります。

妊娠中期:体調が落ち着くことで「安定期」と呼ばれる

妊娠中期とは、妊娠5ヵ月~7ヵ月(16~27週)のこと。妊娠が安定し、一般に「安定期」と呼ばれる時期です。流産のリスクが少なくなり、つわりが収まって体調が落ち着く人も増えます。

妊娠5ヵ月(16週~19週)になると胎児の全身の骨や筋肉が発達し、頭や手足をさかんに動かすようになります。そのため、このころから胎動を感じ始める人も。妊娠中のカラダは貧血になりやすい状態のため、意識して鉄分を摂るようにしてみて。

多くの人が胎動をはっきり感じるのが妊娠6ヵ月(20週~23週)ごろ。お腹の中の胎児はまつげや眉毛が生えて目鼻立ちがくっきりし、人間らしい姿になってきます。妊娠中の女性のカラダは、体重増加や乳腺(乳房の中で母乳をつくる組織)の発達といったさまざまな変化が現れます。

妊娠7ヵ月(24週~27週)は、カラダの変化が大きくなってくるとき。腰痛や痔などの症状が気になる人も出てきます。また、約20人に1人の割合でおこり、重症化すると母子ともに危険をともなう「妊娠高血圧症候群」のリスクが高まる時期でもあります。きちんと妊婦健診を受け、病気の兆候がないか診てもらいましょう。

妊娠後期:出産目前でカラダが劇的に変わる

妊娠8ヵ月~10ヵ月(28週~39週)の妊娠後期には、お腹が大きくなることで姿勢がくずれやすくなり、腰痛に悩まされる人が多くなります。妊娠8ヵ月(28週~31週)ごろからは早産のリスクが高まるため、カラダを冷やしたり長時間の立ち仕事をしたりするのは避けた方が安全です。動悸や息切れもおこりやすいので無理せず一休みしてくださいね。

妊娠9ヵ月(32週~35週)には、子宮がかなり大きくなっています。胃や膀胱が圧迫されるので、胃もたれ、頻尿などの不快な症状に悩まされることも。脚の付け根が痛くなる人もいます。産前休業(産休)は出産予定日の6週間前/妊娠34週(双子以上の多胎妊娠の場合は出産予定日の14週前/妊娠26週)からと法律で定められているので、早めに準備をしておけるとベストです。

妊娠10ヵ月(36週~39週)は、出産を目前に控えた臨月です。妊娠37週0日から臨月を少し過ぎた妊娠41週6日までは「正期産」と呼ばれ、赤ちゃんの準備が整い、生まれるのに適した時期の出産です。妊娠36週以前の出産は「早産」、42週0日からは「過期産」と呼ばれます。

臨月には胎児の位置が下がるため胃の圧迫感が取れて楽になります。出産に向けて子宮口や膣がやわらかくなり、おりものの分泌が増加。ときどき前駆陣痛(不規則なお腹の張りや痛み)がおこることで出産が近づいているのが実感できます。

妊娠時期ごとのお腹のふくらみ方 体型はどう変化する?

妊娠するとお腹は徐々にふくらんでいき、臨月には日常生活を送るのも大変なほど大きくなります。ここでは、妊娠初期・中期・後期それぞれの体型の変化を紹介します。

妊娠初期:外見上の変化はほとんどない

妊娠初期のお腹はあまりふくらんでおらず、外見上の変化はほぼありません。しかし、子宮は徐々に大きくなっています。妊娠前には鶏の卵ほどの大きさだった子宮は、妊娠2ヵ月で卵2個分、妊娠3ヵ月でにぎりこぶし1つ分、妊娠4ヵ月で赤ちゃんの頭ほどの大きさに。お腹のふくらみが外からみてもわかるようになるのはもうすぐです。

妊娠中期:お腹のふくらみが目立つように

妊娠5ヵ月には、子宮の大きさがおとなの頭くらいになり、お腹のふくらみが少し目立ち始めます。また、乳腺の発達によって乳房が大きくなり、全体的にふっくらと丸みをおびたカラダになります。妊娠6ヵ月には子宮がさらに大きくなり、下腹部が目立つように。体重の増加が気になってくるのもこの時期です。妊娠7ヵ月には、子宮底(子宮のてっぺん)がおへそより上になり、お腹もますますせり出します。

妊娠後期:お腹が大きくせり出し、カラダの負担も大きくなる

妊娠後期を迎えると、お腹はどんどん大きく、重くなります。妊娠8ヵ月ごろからは皮膚が引き伸ばされ、妊娠線(妊娠中特有の皮膚のひび割れ)がお腹や乳房に現れる人も。また、ホルモンの影響でメラニン色素が増え、乳輪やデリケートゾーンが黒ずんできます。

妊娠9ヵ月にはホルモンの影響で全身がむくみます。特に、大きくなった子宮に静脈が圧迫される影響で、脚がむくみやすくなります。臨月である妊娠10ヵ月には妊娠前とは比べものにならないほど子宮が大きくなり、お腹はパンパンにふくらみます。ここまでくると、出産も目の前です。

出産後にカラダはどう変化する?

いざ出産本番! でも、出産という大イベントを無事に終えたからといって、女性のカラダはすぐに回復して元どおりになるわけではありません。出産後のカラダの変化、妊娠中に止まっていた生理は一体どうなるのでしょうか?

出産後:6週間かけて子宮は元の大きさに

出産をした直後、まだまだ子宮は大きな状態で、子宮底もおへそぐらいの高さまであります。その後だいたい6週間をかけて元の子宮の大きさへ戻っていきます。このときに、生理痛よりも強い「後陣痛」と呼ばれる痛みを感じる場合も。また、「悪露(おろ)」と呼ばれるおりものが分泌されます。その際はお産用パッド(産褥パッド)を使い対処しましょう。お産用パッドは、生理用ナプキンのようにショーツに付けて使います。

出産後、カラダの中は大きな変化が起きたばかりで、不調を感じやすくなっています。長く続く出血や発熱には要注意。産後は赤ちゃんのお世話などすることがたくさんあるように感じると思いますが、ふたりで事前に話し合ってできるだけ無理をしすぎずに過ごせる環境をつくっておけるといいですね。

また、体重や体型がすぐに妊娠前と同じ状態になるわけではないので、焦らないで。妊娠前の体重に戻すのは、出産から6か月後を目安にしてみてください。

生理が再開する目安は授乳を終えてから数ヵ月後

妊娠が成立すると止まる生理ですが、産後もしばらく止まったままになります。再開する時期には個人差がありますが、授乳を続けている間は生理がこないことも少なくありません。

ただし、授乳期間を終えて数ヵ月経ったあとにも、再開しない場合は婦人科で相談をしてみましょう。

妊娠・出産、たくさんの変化はふたりで乗り切る

妊娠・出産によって、ふたりの間にはさまざまな変化がおこります。さらに、初めての妊娠の場合は、戸惑うことも多いはず。正しい知識をふたりで共有しながら、お互い助け合っていけるといいですね。

【記事監修】

株式会社ファミワン 不妊症看護認定看護師 看護修士

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