妊活の知識

妊活中に取り組みたい生活習慣の改善って?

「できるだけ早く妊娠したい」と思うなら、ぜひ取り組みたいのが生活習慣の改善です。
妊娠するには、ふたりのカラダが健康であることがとても大切。ここでは、妊活中の体重管理や睡眠、喫煙や飲酒といった生活習慣の注意点について解説します。

体重に気をつけたいのは妊婦さんだけじゃない? 妊活中も体重管理が必要な理由

「妊娠・出産のリスクを減らすため、妊婦さんは体重管理が大切」と聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。実は、体重コントロールは妊娠中だけでなく妊活に臨む女性にとっても重要です。

体脂肪率・BMI指数が適正だと妊娠しやすくなる

適正体重の維持が妊活中の女性に欠かせない理由は、体脂肪率が正常範囲内に保たれているときが、女性にとってもっとも妊娠しやすい状態だと考えられているためです。

女性の体脂肪率は

とされています。

身長と体重から肥満度が分かるBMI(体格指数)は、以下の計算式で簡単に求めることができます。

BMI=体重kg÷(身長m)²

BMIは、

と分類されます。

標準体重の方は、そうでない人に比べて妊娠しやすい状態にあると言われています。運動習慣や健康的な食生活で体重に気を配り、BMIがこの範囲に収まるようにしてみてくださいね。

肥満は卵巣のはたらきを悪くする

体脂肪率やBMIが高い場合は、体脂肪を減らすことで妊娠しやすくなります。体脂肪率やBMIが高いと、内臓脂肪がついた臓器に卵巣や子宮が圧迫され、血流が悪くなります。内臓脂肪が減れば血流がよくなり、卵巣機能が向上します。

実際に「1週間の運動時間を1時間増やすごとに、排卵障害が7%ずつ減少する」という研究結果(※1)もあります。体脂肪率やBMIが高い場合はもちろん、標準体重でも、ぜひ運動習慣をつけて体脂肪やBMIの適正範囲をキープできるよう心がけてみては。

どのくらい運動すれば良い?

BMIが標準〜高いなら、妊活中に

または

をするのが理想的と言われています。

ハードな運動は逆効果!

ハードなランニングや水泳によって体脂肪を減らしすぎると、かえって妊娠力(妊娠しやすさ)が下がってしまう可能性もあります。

妊活中は激しい運動を控え、ウォーキングなど適度な負荷の運動に取り組みましょう。1日8000歩を目安に歩くか、軽く息が上がるくらいの早さで20分ほど歩く時間を作るのがオススメです。

日常の動作の中に運動を組み込んで

とはいえ、運動を習慣化するのは難しいもの。「毎日ウォーキングをしよう!」と意気込むと、かえって続かないこともありますよね。

運動は細く長く続けることが大切です。例えば、エスカレーターではなく階段を使う、乗り物に頼らずにできるだけ徒歩で移動する、家の中で意識的につま先立ちをしてみるなど日常の動作のなかでできるだけカラダを動かすようにしてみて。少し意識するだけで運動量はずいぶん増えるはずですよ。

体脂肪が少なすぎると女性ホルモンが不安定に

妊娠力の低下は、体脂肪率やBMIが低い方にもおこります。これは、排卵に欠かせないレプチンという女性ホルモンが、脂肪細胞から分泌されるから。生理はレプチンが出すシグナルによっておこるため、カラダの脂肪が減ってレプチンの量が少なくなると、生理周期の異常や無月経がおこることがあるのです。

もしBMIが18.5未満なら、BMI18.5以上25未満を目標に体重を増やせるよう意識してみて。標準体重になると、女性ホルモンを安定させることができます。

1日3食欠かさず食べよう

体重を増やすのに理想的な1日の摂取カロリーは2500kcal。食が細い人は、それだけのカロリーを摂取するのは大変かもしれません。まずは、炭水化物や女性ホルモンの原料であるタンパク質を中心に、1日3食欠かさず食べることから始めましょう。

タンパク質を1食あたり片手のひら分取ろう

タンパク質はカラダにとって特に大切な栄養素ですが、ほとんどの女性は摂取量が不足していると言われています。1食あたり片手のひら分の肉や魚、卵、乳製品、大豆製品を摂るよう心がけてくださいね。

妊娠しやすいカラダをつくる「良質な睡眠」を意識しよう

妊活中の男女にとって、良質な睡眠を取ることは欠かせません。

睡眠にかかわるメラトニンというホルモンは、ビタミンEの約2倍の抗酸化作用があり、卵巣を守ってくれると言われています。メラトニンは、体温が下がって副交感神経(カラダをリラックスさせる神経)が優位になった状態、つまりカラダが夜間の「眠るモード」に入った状態になると分泌され始めます。

男性の場合、睡眠時間が8時間の人に比べて6時間未満の人は妊娠に至る確率が0.62倍となり、夜勤勤務や不規則勤務の人はそうでない人と比較して妊娠力は0.6倍となることが報告されています。(※2)

最低でも6時間の睡眠をキープしよう

メラトニンの分泌は毎晩22時ごろ始まり、0~2時にピークを迎えます。22時を過ぎたら、カラダが眠るモードに入りやすい状態を作っておきましょう。以下のような工夫をするのがオススメです。

そして毎日0時ごろまでには眠りにつけるとベストです。忙しい日々を送っていると睡眠時間の確保が難しいかもしれませんが、妊娠しやすいカラダを維持するためにも6時間以上の睡眠を心がけてみてくださいね。

寝付きが悪い・眠りが浅い場合は、生活を工夫して

眠りにつくのに時間がかかってしまったり、ぐっすり眠った感じがしなかったりする場合は、以下のように生活を工夫してみましょう。それでも改善されない場合は、医師に相談してくださいね。

ルールを作る

「夜○時以降はスマホやPCを見ない」「寝室にはスマホを持ち込まない」というルールを決めて実行してみると、睡眠が改善されることがあります。

ストレッチなど、軽い運動をする

運動は睡眠の質の改善に効果的。なぜなら、運動をするとセロトニンという精神を安定させるホルモンの分泌が促進され、このセロトニンは夜になるとメラトニンに変化するためです。また、運動によってカラダが適度に疲れ入眠しやすくなります。

トリプトファンの含まれる食材を摂る

メラトニンの原料となるアミノ酸・トリプトファンを、食事で積極的に摂るのも効果的。特に朝食で摂取することが大切です。

トリプトファンは、チーズ、牛乳、ヨーグルトといった乳製品や、納豆や豆腐などの大豆製品、また、ナッツといった食材に豊富に含まれます。食事やおやつに取り入れてみてくださいね。

意識的なストレス発散も大切

妊活中はあまりストレスをためないことが大切です。ストレスがたまると交感神経(カラダを緊張・興奮させる神経)が優位な状態が続き、ホルモンの分泌に影響が及ぶため、排卵障害などがおこって妊娠しづらくなるとされています。

妊活の不安はふたりで乗り越えよう

妊活をしていると「いつ妊娠できるのか」といったプレッシャーから特にストレスを感じやすくなるもの。不安や焦りはふたりで共有しあい、協力して妊活に取り組めるよう方向性を定めることも大切ですよ。楽しみやリラックスできる時間を作ってストレスを発散するのも良いですね。

妊娠に備えた歯のケアを欠かさないで

妊活を始めたら歯科検診を受けることをオススメします。

口内環境の悪化は、妊娠中のカラダに影響を与える

妊娠中はつわりによる口内環境の悪化、女性ホルモンを好む歯周病菌の増加によって歯周病を引き起こしやすいカラダになっています。歯周病菌は子宮を収縮させる物質の分泌を促し、早産のリスクを高めます。

未来の我が子を守るため、女性は妊活中から前もって歯のケアをしておきましょう。また、歯周病は将来的に様々な健康リスクを高める原因になるため、妊活を機にパートナーにも定期的な検診を勧めてみて。

お風呂でカラダを温めよう

妊活中はカラダを温めることも大切です。

血行の促進が卵巣機能の向上に繋がる

お風呂に浸かることで血行が促進され、卵巣の機能が高まるだけでなく、リラックスできて寝つきがよくなります。

カラダを温めることで生理痛を軽くする効果も期待できますよ。

妊活を始めたら禁煙するのがベスト! 妊娠と喫煙の関係について知ろう

妊娠中の女性はタバコを吸ってはいけないと言われていますが、妊活中も同じです。ここでは、喫煙が妊娠力に与える影響について解説します。

妊娠のためにはできるだけ早く禁煙しよう

ニコチンが体内に吸収されると、血管が収縮し卵巣機能が低下します。その結果、生理不順や無月経などがおこりやすくなるほか、卵子の遺伝子を傷つけてしまうことも。

「喫煙者の女性は、非喫煙者の女性に比べて妊娠力が7割ほどに低下する」という研究結果(※3)もあり、長期にわたる喫煙でいっそう妊娠しにくくなることもわかっています。

また、妊娠中の女性の喫煙は早産や低出生体重児、発育遅延の発生率を高めますが、これらのリスクは妊娠前の喫煙によっても上がると言われています。妊娠を望むなら、できるだけ早く禁煙してくださいね。

パートナーにも禁煙してもらうべき?

喫煙は、女性だけでなく男性の生殖機能にも悪影響を及ぼします。これは、ニコチンによる血流障害によって精子の量や質、運動率が低下するため。検査で精子の状態が悪かった男性のなかには、禁煙によって改善が見られる人も少なくありません。

パートナーが喫煙している場合は、妊活を始めた時点で禁煙してもらえるよう話し合ってみましょう。もしお互いにタバコを吸っているなら、ふたりで生活習慣を改善する良いきっかけになるのでは。

副流煙にも注意

副流煙には、タバコを吸う人自身が吸い込む煙よりも数倍以上高い濃度の有害物質が含まれています。妊活を始めたら、自分が禁煙するだけでなく、副流煙を吸い込む受動喫煙にも気を付けたいですね。

受動喫煙は妊娠力の低下を招くだけでなく、子宮外妊娠、前置胎盤、常位胎盤早期剝離といった妊娠にかかわるトラブルや、産まれた子どもの乳幼児突然死症候群のリスクを高めるとも言われています。

電子タバコや加熱式タバコも避けたい

妊活を始めた時点で、電子タバコもやめたほうがいいでしょう。日本で販売されている電子タバコは、紙巻きタバコと異なり、タールが含まれていないのが一般的です。しかし、鉛やクロム、ニッケルなどの重金属、アルデヒドなどの有害物質が含まれていることには変わりありません。

また、加熱式タバコは煙の代わりに蒸気を発しますが、蒸気の中にニコチンや有害物質が含まれており、受動喫煙が生じます。女性自身の喫煙はもちろん、受動喫煙にも妊活中から気を付けてくださいね。

妊娠力に影響する!? 妊活中のお酒との付き合い方

妊娠中の飲酒がお腹の赤ちゃんに悪影響を及ぼすことはよく知られています。しかし、妊活中もできればお酒を控えたほうがいいということについては、あまり知らない人もいるかもしれません。妊活中にお酒を飲むと、カラダにはどのような影響があるのでしょうか。

お酒が妊娠力に及ぼす影響

アルコールを摂取すると、男女ともに生殖機能が低下します。実際に「妊活中の女性が1週間に50gを超えるアルコールを摂ると、出産に至る確率が16%低くなる」というデータもあります。(※4)

50gのアルコールは、お酒の量に換算すると

に含まれています。1週間で飲む合計の量としては、それほど多くないと感じるかもしれませんね。

アルコールが生殖機能を低下させるのは、体内で分解されるときにアセトアルデヒドという物質を発生させるため。これが、女性であれば卵巣の萎縮やエストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌低下、生理の異常や無月経、男性であれば精子の数や運動率の減少を引きおこします。

できるところからお酒を断ってみよう

妊活を始める時点で、男女ともに禁酒するのが理想ではあります。しかし、もともとお酒が好きな人、付き合いで飲酒する機会が多い人にとっては、妊娠前から完全にお酒を断つのは難しいかもしれません。

なかなか禁酒できない場合は、量や頻度を減らすところから始めてみましょう。

ふたりができる範囲で生活習慣を改善しよう

生活習慣の改善を負担に感じてしまう人もいるでしょう。妊活にどれだけ取り組むかはふたり次第。よく話し合ってふたりで同じ方向を向き、できることから一緒に取り組めるといいですね。

※1 Walter Willett, Nurses' Health Study II,1989

※2 Fertil Steril 2018 Vol. 109 Issue 3 Pages 453-459

※3 British Medical Association Board of Science and Education & Tobacco Control Resource Centre, Smoking and reproductive life The impact of smoking on sexual, reproductive and child health. 2004

※4 Rossi BV, Berry KF, Hornstein MD, Cramer DW, Ehrlich S, Missmer SA. Effect of alcohol consumption on in vitro fertilization. Obstet Gynecol. 2011 Jan;117(1):136-142

【記事監修】

一般社団法人Luvtelli

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