妊活の知識

子宮筋腫があると妊娠・出産はどうなるの?

子宮筋腫は成人女性の4~5人に1人はあると言われる、珍しくない腫瘍です。もしかすると、この記事を読んでいる人の中にも子宮筋腫があると診断されたことがある方がいるかもしれません。生理のときにどんな症状があるのか、妊娠にはどのような影響があるのか、気になりますよね。

今回は子宮筋腫について、1つひとつ学んでいきましょう。

子宮筋腫ってどんなもの?

子宮筋腫とはいったいどのようなもの? まずは子宮筋腫の正体や治療法について紹介します。

子宮筋腫は子宮内にできる「こぶ」

子宮筋腫とは子宮の壁内にできる良性の腫瘍(こぶ状のかたまり)のこと。悪性の腫瘍であるがんと異なり、命にかかわる病気ではありません。

成人女性の4~5人に1人は子宮筋腫を持っていると言われており、30才以上になるとその割合は3人に1人に増えます。

子宮筋腫ができる数や大きさには個人差があり、目視してもわからないほど小さなものから、こぶし大ほどの大きさのものまで様々。また、1つだけできる人もいれば複数できる人も。大きさや場所によって自覚症状が異なるのも特徴です。

子宮筋腫の大きさや数、できる場所によっては、

などの症状が見られることもあります。

子宮筋腫ができる原因はまだわかっていない

筋腫ができる原因はまだ解明されていません。しかし、卵巣から分泌される女性ホルモンの1つであるエストロゲン(卵胞ホルモン)が筋腫を大きくするのに関係していると考えられています。

エストロゲンは、子宮に作用して子宮内膜を厚くさせ、妊娠に備えるはたらきがあります。そのため、子宮筋腫はホルモンの分泌がさかんな年齢のころに多く見られ、閉経すると逆に小さくなることが多いです。

婦人科の超音波検査でみつかることがある

子宮筋腫の有無は、婦人科で行われる超音波検査でわかります。超音波検査は「プローブ」と呼ばれる細い棒状の器具を膣内に入れ、子宮や卵巣を超音波で観察するもの。自覚症状のない子宮筋腫でも、超音波検査なら見つけられます。

様々な角度から卵巣や子宮を超音波で検査するため、プローブに違和感を感じることがあるかもしれませんが、痛みや出血はほとんどないのでリラックスしてくださいね。内診が不安な方は、診断の予約や診察時に病院へ伝えてみてください。

子宮筋腫や疾患を早い段階で発見できるよう、定期的に婦人科を受診できるとベストですね。

妊娠に影響がある子宮筋腫って?

子宮筋腫の種類は大きく分けて3種類。それぞれが複合することもあります。

子宮筋腫ができる場所によって症状は異なります。なかには子宮内に悪影響を及ぼして受精卵が着床しにくくなり、妊娠しづらさに繋がる子宮筋腫も。それぞれチェックしておきましょう。

妊娠の邪魔をしづらい子宮筋腫

子宮筋腫が5cm以下などと小さいものや、子宮の外側にできるものなど、妊娠の邪魔をしない場合は、治療せず経過観察をおこないます。

子宮内には影響しづらい「漿膜下筋腫」

子宮の外側にこぶ状に飛び出すようにできる筋腫です。子宮表面を覆う漿膜(しょうまく)の下にできるため、子宮の内部を圧迫することが少ないのが特徴です。複数個できたり、ごつごつとしたかたまりになったりすることもありますが、痛みなどの症状が出にくいことで知られています。

子宮内部に影響がないため、不妊の原因となることはほとんどないと言われています。

妊娠の邪魔をする可能性がある子宮筋腫

不妊の原因になりやすい「粘膜下筋腫」

粘膜下筋腫は、子宮の内壁をおおう子宮内膜のすぐ下にできる筋腫です。子宮の内側に向かって発育し、子宮内膜を圧迫してしまいます。筋腫が下方に伸び、子宮口の外へ飛び出してしまう場合も。月経過多や貧血の症状も起こりやすくなります。

子宮内膜が変形してしまうので受精卵が着床しづらく、不妊の原因になりやすい筋腫です。

位置によっては流産や早産にも繋がる「筋層内筋腫」

子宮の周りは筋肉で覆われています。その筋肉の中にできるのが筋層内筋腫です。子宮筋腫の約7割がこの筋層内筋腫だと言われています。サイズは大豆ほどの大きさからこぶし大まで様々。なかには複数個できる場合もあります。

子宮筋腫が小さければ痛みなどの自覚症状はあまりありませんが、大きくなると経血量が多い月経過多や、不正出血、妊娠中の場合は流産や早産の原因になる可能性もあります。

子宮筋腫は治療が必要なケースも

早めに婦人科を受診すれば、子宮筋腫にどう対応していくかを考えることができます。特に子宮筋腫があるとわかっている場合、妊活を始めるタイミングで医師に相談しておけるとベストです。

子宮筋腫の治療法は「薬」と「手術」の2種類

筋腫の位置や大きさが妊娠を邪魔する場合、薬や手術で治療します。

妊娠希望で子宮筋腫の大きさが5~6cmを越えている場合は、無症状であっても子宮筋腫を取る手術を検討することがあります。大きさが5cm未満で症状がない場合は経過観察となることが多いですが、筋腫の位置や場所によっては手術することもあります。

治療法1 薬で治療する場合

残念ながら子宮筋腫を根本的に治す薬はまだ開発されていませんが、筋腫を小さくしたり、痛みや出血といった症状はやわらげたりする薬はあります。

少量の女性ホルモン量が含まれた低用量ピルを服用することで、体内で筋腫の成長を止めて症状を楽にする方法もあります。しかし、ピルは排卵を止めてしまうため、その期間の妊活はお休み。薬での治療を数ヵ月ほどおこない、経過観察により問題がなくなれば、妊活を再開できます。

エストロゲンの分泌を抑える点鼻薬や注射を使用し、閉経状態をつくり出して筋腫の成長を止める治療法もあります。しかし、長期間続けると更年期障害のような症状や、骨が弱くなる骨粗しょう症などの副作用が出てきます。そのため、子宮筋腫の摘出手術前に筋腫を小さくするための一時的な処置としてこの治療法を選ぶことが多いです。

治療法2 手術をする場合

子宮筋腫の手術は、

に行います。手術の方法には、大きく2種類があります。

妊娠を希望する場合は、一般的に子宮を温存できる子宮筋腫核手術を選びます。ただし、子宮筋腫核出術では直接みてもわからないほど小さな筋腫が取り残される可能性があり、数年後に再発する恐れも。手術後はなるべく早く妊娠できるよう、妊活を進めていくことが重要です。

筋腫だけを取り除く手術には、

の3つの方法があります。

特に腹腔鏡手術は、カラダへの負担が少ないことがメリット。また、開腹手術と比べて手術した器官同士がくっつく術後癒着による不妊症のリスクが下げられます。

手術直後は傷が塞がるまで妊活はお休み。術後1〜3ヵ月以上経過したら、妊活を再開することを考えてもOKです。

出産のとき、子宮筋腫があるとどうなる?

場所や大きさによって子宮筋腫が妊婦や胎児に影響がないと判断されれば、子宮筋腫を残したまま出産を迎える妊婦さんも多くいます。

しかし、妊娠中のエストロゲンの影響で子宮筋腫が大きくなってしまう症例が約2割あります。その際、子宮筋腫が胎児を包む袋である胎嚢(たいのう)を圧迫し、胎児の成長を妨げてしまうことも。その結果、流産や早産に繋がる可能性もあります。

定期的な検査で状態をしっかり確認し、医師と相談してくださいね。

5cm以下の子宮筋腫がある場合

5cm以下の子宮筋腫ならば、赤ちゃんを産道から出産する経腟分娩ができることがほとんど。

しかし、以下の場合は下腹部を開く帝王切開での出産を選択するケースもあります。

5cm以上の子宮筋腫がある場合

などの症状に見舞われる可能性が高くなります。

また、妊娠中に大きくなった筋腫同士が合併する割合は0.45~3.1%と考えられています。このような筋腫合併がある場合は、

などの症状があるケースがあり、帝王切開をする可能性もあります。

帝王切開の際に子宮筋腫を取り除くことも

一般的に、帝王切開の際に筋腫を同時に取り除くことは推奨されていませんが、胎児を取り出す際に筋腫が邪魔な位置にあるなど、必要な場合のみ処置をおこなうことがあります。

子宮筋腫の不安は、医師やパートナーと乗り越えよう

「子宮筋腫がある」と言われると、どうしても不安を感じるものです。しかし、女性の4~5人に1人に子宮筋腫があるということは、子宮筋腫を抱えながらも妊娠・出産をした人もたくさんいるということ。

子宮筋腫の症状には個人差があり、妊娠・出産への影響も様々。自分たちの場合は子宮筋腫とどう付き合っていけばいいのかをかかりつけの婦人科の医師に相談し、どういう選択をするかをふたりで一緒に話し合うのがオススメです。

【記事監修】

株式会社ファミワン 不妊症看護認定看護師 看護修士

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