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実は女性にとっても多い泌尿器系の悩み

実は女性にとっても多い泌尿器系の悩み 実は女性にとっても多い泌尿器系の悩み

泌尿器系のトラブルは、恥ずかしくてなかなか人に相談しづらいものですが、女性はカラダの構造上、膀胱炎や尿もれが起きやすく、悩んでいる人も少なくありません。放っておいてトラブルにならないうちに、早めの予防対策を!

膀胱炎はこうして起こります

●実は女性は、膀胱炎になりやすい

膀胱炎は、尿道から入り込んだ病原菌による炎症です。おもな症状は、おしっこをするときに痛みを感じる、残尿感[ざんにょうかん]がある、トイレが近くなる、尿がにごるなど。ひどくなると、排尿時に焼けつくような激しい痛みが起こったり、血尿が出ることもあります。女性の尿道は男性に比べて短いのに加え、膣や肛門と尿道の入り口が近い位置にあるため、外から細菌、とくに大腸菌が膀胱まで入りやすい構造になっているのです。

細菌が膀胱にまでいかないで、尿道だけで炎症を起こしている場合は、尿道炎と診断されます。排尿時の痛みは、膀胱炎より尿道炎のほうが強いようです。

尿道のしくみ

尿路のしくみ

●抵抗力がおちているときは膀胱炎になりやすい

膀胱炎は、デリケート・ゾーンや肛門周辺にいる常在菌[じょうざいきん]の大腸菌が尿道から侵入するために起こります。性器周辺には膣内の細菌や大腸菌などもいるので、清潔でない状態でのセックスでは、そういった細菌を尿道に押し入れていることになってしまうことから起こります。また女性は排便時にも尿道口に細菌が入ってしまうことがあります。これはとくに風邪をひいていたり、疲れがたまっているなど、カラダの抵抗力が落ちているとき、感染しやすくなります。トイレを長時間ガマンしたり、ナプキンを替えずに1日中つけっぱなしにすることなども、発症のきっかけとなります。また、一度膀胱炎になると習慣化しやすいので、注意が必要です。

●膀胱炎から腎盂腎炎[じんうじんえん]に発展することも

尿道から侵入した細菌が、膀胱から尿管をのぼって腎臓で炎症を起こすと、腎盂腎炎になります。腎盂腎炎はほとんどが膀胱炎から起こりますが、まれに風邪などのウイルスで発症することもあります。急性の腎盂腎炎の場合は、膀胱炎の症状が1~2日続いたあと、38.5度以上の高熱が出て、下腹部や腰のあたりに痛みが起こります。放っておくと腎不全[じんふぜん]を起こすこともありますので、とにかく早めに病院へ行くようにしてください。

膀胱炎の予防と治療法を知っておきましょう

●トイレを長時間ガマンしない

膀胱炎を予防するためには、トイレを長時間ガマンしないことが大切。なぜなら尿を長くためればためるほど、膀胱の機能が低下し、細菌に感染しやすくなるからです。排便時におしりをふくときは、必ず前から後ろへふくようにしてください。セックスのときも、ふたりともシャワーを浴びて清潔を心がけましょう。

●生活習慣改善でカラダの抵抗力アップ

予防には、カラダの抵抗力を高めることが大切です。疲れをためず、睡眠をしっかりとり、食生活も栄養バランスを考えて摂るように努めましょう。習慣化しやすい病気ですが、生活習慣を見直すことで、ずいぶん改善されます。また、下半身が冷えていると膀胱炎になりやすいので、冷房の効いた室内や寒い屋外での仕事をしている人は、腰まわりを冷やさないように気をつけてください。保温性のある下着を着たり、携帯用カイロを使うなどして工夫しましょう。膀胱炎の症状を感じたら水分を多めにとってみましょう。どんどんおしっこを出すと、細菌が洗い流されて自然に治ることもよくみられます。それでも治らないときは、早めに泌尿器科へ行きましょう。

●薬の処方を受けたらきちんとなおるまで飲む

泌尿器科を受診すると、尿検査をして、菌に感染しているかどうかを調べます。膀胱炎と診断されると、抗生物質が処方されます。通常、服用をはじめると、症状はすぐに消えていきますが、処方されたクスリは、きちんと最後まで飲むようにすることが大切です。症状が消えても、菌が残っていて、再発する可能性があるからです。膀胱炎は、習慣化しやすいので、自己判断でクスリをやめるのではなく、きちんと治すようにしましょう。

●日常生活で膀胱炎を予防しよう

膀胱炎を予防するには_1

<膀胱炎を予防するには_1>

・排便のあとおしりをふくときは、前から後ろへ

膀胱炎を予防するには_2

<膀胱炎を予防するには_2>

・ ナプキンやおりものシートはこまめにかえる

・ トイレをがまんしない

膀胱炎を予防するには_3

<膀胱炎を予防するには_3>

・腰を冷やさない

・過労に気をつける

膀胱炎を予防するには_4

<膀胱炎を予防するには_4>

・セックスの前後にシャワーを浴び、カラダを清潔に

膀胱炎を予防するには_5

<膀胱炎を予防するには_5>

・膀胱炎になりそうと思ったら、水分をたくさんとって、どんどん尿を出す

尿もれの症状と原因

●若い女性の尿もれは、膀胱炎の可能性も

自分の意思に反して尿がもれてしまうことを「尿もれ」、または「尿失禁」といいます。尿もれは、産後一時的になったり、閉経以降の女性に多くみられます。若い女性で尿もれがあるのは、膀胱炎にかかっている場合や、大きなストレスがかかり緊張のあまり、というようなケースが考えられます。尿もれにはいくつかのタイプがありますが、いちばん多く見られるタイプは、腹圧性[ふくあつせい]尿失禁です。せきやくしゃみをしたり、重いものを持ち上げるなど、おなかに力がかかったときに少し尿がもれてしまうのが特徴です。次に多いのが、切迫性[せっぱくせい]尿失禁とよばれる尿もれで、尿意を感じてからトイレに行くまで間に合わず、もらしてしまうタイプです。

●骨盤底筋が弱ると尿もれが起こりやすい

腹圧性尿失禁の原因は、女性の骨盤を支える骨盤底筋のゆるみです。女性の骨盤のなかには、子宮や膣、卵巣、膀胱、尿道、直腸など、さまざまな臓器がおさまっており、これらを下からしっかりと支えているのが骨盤底の筋肉、骨盤底筋なのです。ところが、骨盤底筋が弱ってくると、支えきれなくなった膀胱が下がって尿道が変形し、ちょっとしたことで尿もれが起きてしまうのです。

尿もれの予防と治療法

●おなかに力を入れて尿を出すのはNG

おしっこをするとき、おなかに力を入れて、腹筋の力で尿をしぼり出すような排尿習慣は、膀胱の収縮が抑えられ、尿道との働きがアンバランスになるので避けましょう。便秘のときにいきみすぎるのも、骨盤底をゆるませる可能性があるので気をつけてください。また、補正用下着をつけておなかを締め付けるのもおすすめできません。

●骨盤底筋をきたえる骨盤底筋体操

尿もれ予防や、産後の尿もれの改善におすすめしたいのが、骨盤底筋をきたえる体操です。ただし、日常生活に支障をきたすようなら、専門医を受診して、適切な治療を受けるのがよいでしょう。できれば尿失禁外来のある泌尿器科を受診することをおすすめします。症状によって薬物療法、器具の装着などを行いますが、手術が必要な場合でも開腹せずに膣からできるものがほとんどです。切迫性尿失禁には、自律神経をコントロールするクスリや、少量のホルモン剤を用いることもあります。

【記事監修医】

西山紘子先生
社会福祉法人 恩賜財団済生会支部東京都済生会
東京都済生会中央病院/産婦人科医

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