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悩む若者が急増中!? 便秘と痔

悩む若者が急増中!? 便秘と痔 悩む若者が急増中!? 便秘と痔

近年、ダイエットなどが原因で、便秘や痔に悩む若い女性が増えています。もともと女性は女性ホルモンの影響や腹筋の弱さなどが関係して、便秘になりやすい体質。便秘解消のために、まずは食生活や生活習慣の見直しから始めましょう。

便秘と痔には関係があり! このふたつはこうしておこる

便秘と痔には関係があり! このふたつはこうしておこる

●便秘は主に3タイプ

いつも便秘の状態にあることを「習慣性便秘」といい、大きく3つのタイプに分けられます。①大腸の働きが低下して、スムーズに便が排出されなくなる「弛緩[しかん]性便秘」、②便意を感じたときにガマンしたためにおこる「直腸性便秘」、③結腸がけいれんをおこして便を止めてしまう「けいれん性便秘」の3タイプです。

●若者の便秘の原因はガマンとストレス

「弛緩性[しかんせい]便秘」はお年寄りに多いのですが、「直腸性便秘」や「けいれん性便秘」は若い女性にも多くみられるタイプの便秘です。たとえば、朝起きて便意があっても、遅刻するからとガマンしてしまったり、職場でトイレに行くのが恥ずかしくて行きそびれてしまったり、そうこうしているうちに便意がなくなってしまうというのが、「直腸性便秘」のパターンです。一方、ストレスなどが原因で、コロコロしたうさぎのふんのような便が出るのが、「けいれん性便秘」です。これはストレス過多から便秘と下痢を繰り返す過敏性腸症候群の症状でもあり、腹痛をともなうのが特徴です。

●生理前、便秘がちなのは女性ホルモンの影響

「生理(月経)前になると毎回便秘になる」という人もいるでしょう。これは女性ホルモンの一種「黄体ホルモン」の影響によるものです。この「黄体ホルモン」の分泌が増えると、腸のぜんどう運動(食物や便を送ろうとする動き)が弱まります。そのため、これが多く分泌される生理前は便秘になる人が増えるのです。

●朝食抜きや無理なダイエットも便秘の原因

朝食抜きも便秘になる原因です。朝、からっぽの胃に食べ物が入ってくると、それが刺激となって腸のぜんどう運動をうながし便意をおこすというカラダの仕組みがあります。ところが、朝食をとらないとこの仕組みが働かず、便意もおきません。その結果、便秘になってしまいます。また、過度なダイエットをしていると、食事量が減るため十分な便がつくられません。

●若者に増殖中! 便秘がやがて痔に

痔というと「妊娠や出産を経験した女性にできるもの」というイメージがありますし、実際そういう人が多いのですが、最近は未婚の若い女性にも、習慣性便秘やストレス性の下痢から痔になる人が増えています。便秘を放っておくと、痔をおこしやすくなるのです。

●女性に多いのは「切れ痔」と「イボ痔」

痔には、①裂肛[れっこう](切れ痔)、②痔核[じかく](イボ痔)、③痔ろうの3タイプがあり、切れ痔とイボ痔が比較的女性に多いタイプです。切れ痔は、硬い便を押し出そうと、いきんだときに肛門が切れて出血するタイプの痔です。イボ痔は、排便時のいきみから肛門の周りの静脈がうっ血し、こぶのようにふくらんでしまうものです。一方の痔ろうは、細菌が入り込むことによって肛門の周りが化膿し、痛みや発熱をおこすタイプで、男性に多くみられます。

●痔になってしまったら…

痔になってしまったら、肛門のうっ血を避けるために、トイレでふんばり過ぎたり、長時間座りっぱなしでいるのを避けましょう。お酒、タバコ、香辛料はほどほどに排便時には温水シャワートイレを使用したり、入浴時はぬるめのお湯のシャワーをかけるなど肛門を清潔に保つことが大切です。

●肛門科も女性専用外来があります

痔の症状が軽く、痛みや出血がそれほどでもなければ、市販の注入軟膏や痔疾用軟膏、座薬などで治療を。痔がなかなか治らないときは、肛門科に相談してみましょう。「肛門科を受診するのは、ちょっと恥ずかしい」という人でも、最近は、「○曜日は女性のみ」という女性専用外来や、女医さんがみるという病院も増えてきています。日常生活に支障が出るほど悪化すれば、手術が必要な場合もありますが、最近の痔の手術は医療技術が進んで、痛みがほとんどない方法もあります。ひどくなる前に、肛門科で相談してみることをおすすめします。

便秘解消法と痔の予防は毎日の生活から

便秘解消法と痔の予防は毎日の生活から 便秘解消法と痔の予防は毎日の生活から

●食物繊維の豊富な食べ物をとる

便秘を解消するには、「快食快便」をめざして、食事や生活習慣を見直すことがいちばんです。とくに極端なダイエットは、便秘だけでなく、生理周期(月経周期)にも悪影響をおよぼすので避けてください。食事は、朝食・昼食・夕食と1日3食きちんと食べるようにしましょう。朝起きぬけに、牛乳や水を1杯飲むと、それが刺激になって腸が活性化され、便意をもよおすとも言われています。また、食物繊維の豊富な食べ物をとるように努めましょう。食物繊維には、水に溶けるタイプと水に溶けないタイプがあり、それらをバランスよくとることが大事です。水に溶ける食物繊維には、便をやわらかくする働きがあり、こんぶやひじきなど海藻類のほか、しいたけ、エリンギなどきのこ類がその仲間です。一方、水に溶けないタイプの食物繊維は、水分を吸収して便のカサを増やし、腸のぜんどう運動を活発にする働きがあります。大根やごぼう、れんこんなどの根菜[こんさい]類、さつまいも、じゃがいもなどのいも類のほか、ほうれん草やかぶの葉などの青菜にも多く含まれています。大豆など豆類や、雑穀[ざっこく]、玄米も(水に溶けないタイプの)食物繊維が豊富でおすすめです。また、ヨーグルトなど腸の善玉菌を増やす食べ物は、腸内環境を整えるので便通の改善に最適です。

●朝起きたら排便の習慣を

朝起きて、水を1杯飲んだり、朝食をとるようにすると、便意を感じるようになります。便意を覚えたら、ガマンしないですぐにトイレに座るようにしましょう。そのためには、少し早起きするなどして、ゆとりある朝の時間を持つことが大切です。

●長時間座りっぱなしは便秘になりがち

女性は男性と比べて腹筋が弱いため便を押し出す力も弱く、便秘になりがちです。寝る前に体操をするなどして、日ごろから腹筋を鍛えるのもよいでしょう。とくに、座りっぱなしの仕事をしている人で便秘気味の人は、腹筋が弱まっている可能性があり、痔にもなりやすく、要注意です。1時間おきに立ち上がって歩いたり、座っているときは足をあげてストレッチをするなどして、適度な運動を心がけましょう。

便秘の予防法

<便秘の予防法 1>

便秘の予防法_1

・朝、起き抜けに、冷たい牛乳や水をコップ1杯飲む。

<便秘の予防法 2>

便秘の予防法_2

・朝食をちゃんと食べる。

<便秘の予防法 3>

便秘の予防法_3

・便意を感じたら、タイミングをのがさずにトイレへ行く。

<便秘の予防法 4>

便秘の予防法_4

・ダイエットはひかえる。

<便秘の予防法 5>

便秘の予防法_5

・食物繊維をとる。

<便秘の予防法 6>

便秘の予防法_6

・腸の善玉菌を増やす。

<便秘の予防法 7>

便秘の予防法_7

・便をやわらかくするために適度に水分をとる。

<便秘の予防法 8>

便秘の予防法_8

・腹筋を鍛える運動をする。

・日ごろからリラックスを心がける。

【記事監修医】

西山紘子先生
社会福祉法人 恩賜財団済生会支部東京都済生会
東京都済生会中央病院/産婦人科医

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